司祭の言葉 2021/1/3

主の公現 (マタイ2章1-12節)

博士たちの礼拝

 今日は主の公現の祝日です。今週いっぱいキリストの誕生を祝います。本来は1月6日ですが、平日に祝うことの難しい日本では1月2日から8日までの間の主日に祝われます。 「公現」はギリシア語で「エピファネイア」、「輝き出る」と言う意味です。イエスが神の子キリストとしてユダヤ人以外に現されたことを記念します。
 博士たちが贈り物をしたことから、フランスやイタリアまたメキシコなどでは、この日にクリスマスのプレゼントをするそうです。

 「占星術の学者」はギリシア語では「マゴスmagos」です。メディア(今のイラン)の一部族であり、祭司階級だった「マギ」に属する人の意味で、哲学、薬学、自然科学に秀で占いをし 夢を解いていました。マギの見た星については、いろんな説があります、
① BC11年頃 ハレー彗星が長い尾を引て空に現れた。 
② BC7年には、土星と木星が接近して強い光を放った 
③ BC5年には異常な天体現象が見られた・・・などです。
マギが見たのはどれかわかりませんが、天体を見るのを専門としていた人達は、空が明るく光ったのを見て王がこの世に生まれたのを知りました。戸籍調査は14年ごとに行われており、紀元20年から270年までに行われた調査については記録が残っています。シリアでも行われていたとするとこの個所にある調査は紀元前8年に行われていたことになります。このことと照らし合わせますと誕生前の出来事、BC11年のハレー彗星の線が有力になります。
 人々は時にその生涯をかけて真実の探求にのぞみます。ナイルの源流をさぐって未だ発掘されていない王の墓を探し、邪馬台国の場所を求め、考古学者の研究はカッパドキアの地下に一万数千人が生活できる都市が見つけ、クフ王の墓に巨大な隠し部屋があることぉ突き止めています。マギ達は長い間救い主誕生の時を、天体の運行を見ながら待ち望んでいたと思われます。

 ヘロデは紀元前37~前4年、王としてパレスチナを支配しました。ローマ帝国からユダヤの王として認められていたヘロデですが、純粋なユダヤ人ではなくイドマヤ人の血を引いていたので、ユダヤ人からは正当な王と認められていませんでした。そこで「ユダヤ人の王としてお生まれになった方」の知らせを聞いたときに自分の地位を脅かす存在と感じて不安になったのです。
 学者たちが幼子を訪問したこの出来事は、イエスによってもたらされた救いが民族の壁を越えてすべての人にもたらされる、ということを示しています。
「黄金、乳香、没薬」にそれぞれシンボリックな意味を見ることもできます。
 黄金は王の権力、乳香は神へ捧げもの、没薬は葬りに使われることからイエスの十字架上の詩の暗示・・などです。
 選民の準備は4000年でしたが、公の到来の式は異邦人によって行われました。
 贈り物について、聖アンブロジオは (374年没ミラノ司教)

「神は我々が彼に与えるものよりも、自分のためにとっておいて、捨てきれない物の方に気をつけておられる」・・・といいます。
 私はこの聖アンブロジオの言葉に戦慄します。